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NEC Lenovoを代表するThinkPadの新たなシリーズとして、軽量・薄型かつ高性能と市場で高い評価を獲得しているワークステーションモデルPC、ThinkPad X1 Extreme。
先行するThinkPadシリーズが獲得してきた堅牢性や信頼性、高いパフォーマンスのレガシーを継承しながらも、ライトユーザーから設計者・デザイナーなど、プロユースを想定した状況にも対応するハイエンドモデルです。
この製品開発にあたり、プロジェクトを成功に収めるべく、初の試みが行われました。それは、NEC Lenovoグループの2つの拠点、横浜と米沢の初となるハイブリッドチームの結成。
このチームにおいて基板設計を担当するJ.K.にプロジェクト発足から現在までの様子を伺いました。

NEC Lenovoの2拠点によるハイブリットチームを結成

これまでリリースされていたThinkPadのワークステーションモデルは、高いパフォーマンスを誇る一方で、重量がやや重いのが難点でした。
この改善点を見直し、従来のパフォーマンスを維持向上しつつも、気軽に持ち出せどこでも使用可能となるよう、より薄型で軽量なモデルを創り出すことを目指して始まったのが本プロジェクトです。この新たなコンセプトの元でチームを組むにあたり、NEC Lenovoグループでは横浜・米沢の両拠点から優秀な人材を集めたハイブリッドチームを構成しました。このハイブリッドチームの結成は、NEC Lenovoグループとしても初の試み。これまで、ThinkPadシリーズは、横浜と米沢双方で開発が行われていたのですが、その技術開発のスタイルは双方の拠点ともに独立したものでした。もちろん、グループ内での知識や情報の共有は行われていたものの、それはあくまでメールや資料上での話で、2つの拠点の人材が顔を合わせ意見を交換するということは、これまでなかなか実現せずにいたのです。

ハイブッドチームの結成が発表されると、私たちは両拠点をつないだリモートによる会議を開始しました。これはまだプロジェクトが走り出す前の段階です。この時点で大切なのは文化の違う拠点同士で意識を統一し同じ目標に向かうこと。私たちは毎日リモート会議を続け、互いを知っていきました。そして迎えたプロジェクトの発足。米沢に横浜のメンバーが集まって初の対面が実現しました。しかしプロジェクト以前に打ち合わせを重ねたものの、いざ開発が始まるとそれぞれの拠点の個性があらためて浮き彫りになります。
慎重かつ開発のセオリーに従うことの多い米沢のスタッフに対し、横浜のスタッフは比較的広い視野の中で、新しい取り組みに対して積極的に取り組む姿勢をもっていました。慎重・堅実と柔軟、時に意見がぶつかることもありましたが、コミュニケーションが円滑に進み、双方がそれぞれの足りない部分を補うスタイルができていくと、次第にプロジェクト内で化学反応が起こり始めました。

それぞれの技術と試験を生かして開発は進む

ThinkPad X1 Extremeは薄型筐体のモデルです。この開発にあたって課題となったのは、パフォーマンスと発熱のバランスでした。
高い性能を持つPCは相応の熱を発します。発熱するパソコンは携行に向かず、また安全性も低いものとなります。筐体に十分なスペースが確保できれば大型の冷却機構を用いることでこの問題は解決するのですが、今回のプロジェクトで実現する筐体ではそれが容易ではありませんでした。
ハイパフォーマンスを維持しながら、いかにして筐体の持つ熱を逃せばいいのか。私たちはそれまでの開発の常識を一度捨て、基板の再設計から見直しを始めました。消費される電力、そして発生する熱を最大限考慮し、かつ電力制限や熱制限において、安全な基準を守る範囲で最大限のパフォーマンスを発揮するために私たちが導き出したのは、基板サイズを小さくし、空いたスペースを熱機構のために使うという選択。基板や各部品の調整を、エンジニア同士が集まり何度も検討していきました。時には他社製品を調査し、その長所となる部分を分析し、サプライヤーと連携することで最適解を導き出していく地道な作業は米沢のスタッフの得意とするところでした。

また本プロジェクトにおいては高いパフォーマンスを獲得するために、PCにGPUを搭載することが決定されていました。しかしながら、米沢ではそれまでGPU搭載PCの開発経験がなかったのです。一方で、横浜ではすでにGPUを用いた製品の開発にいち早く着手しており、すでにサプライヤーとの繋がりもありました。横浜のエンジニアとのコミュニケーションを密に取り、情報共有とノウハウが米沢に伝えられると、米沢のエンジニア達の技術力や知見は一気に広がりました。またサプライヤーとの繋がりが米沢においても生まれたことで、今後の開発における大きな布石を打つことができました。
こうして横浜の先取の精神を生かし、GPUを搭載したThinkPad X1 Extremeは誕生したのです。

本プロジェクトでは、横浜・米沢それぞれのエンジニアの技術力を総決算し新しい成果として結実することができたという面で大きな価値のあるものでした。私自身入社以来、PCの基板設計をしていますが、このプロジェクトで初めて開発する内容や機能も多く、エンジニアとして技術力や知見を広め大きく成長できたと感じています。
私たちの作り上げたThinkPad X1 Extremeはプロジェクトにおける最初の成果。本製品は、ゲーミングPCやVR/ARといった拡張デバイスに向けたPCの基盤になると思っています。この成功を糧とし、未来に向けてプロジェクトは現在も進行中です。今後、さらに進化していくCPUやGPUをいち早く取り入れ、今以上の品質を持ちつつもユーザーに沿った開発が重要であると考えています。また、近い将来5GやAIなどの最新技術にも積極的に挑んでいきたいですね。ThinkPad X1 Extremeはそのすべてを実現しうる可能性をもっています。

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