[画像]C.T.

入社から現在までの「仕事歴」

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入社後はThinkPadのグラフィックス回路設計を担当。ここで6年近く、仕様策定、回路設計、動作検証を担いました。この期間は私にとって、技術だけではなく、数社あるベンダーと協働して仕事を進めるということ。また数年先の製品に向けて、レノボはこう考えている、こうしたいという要求をベンダー側にインプットしていくことなど、技術だけではなく、社会人としての視野が拡がっていった6年でした。
エンジニアとしてそろそろ一人前になってきたかなと感じ始めていた頃、あるオファーがありました。「ポートフォリオをやってみないか?」と。ここでいう「ポートフォリオ」とは、マーケティングの視点から、これからのレノボは「この分野を強化するべき」あるいは「こういう製品を作るべき」という製品の方向性に対しての取捨選択を考えるというもの。新製品企画の一環と捉えていただいても良いと思います。私はエンジニアとして、企画側へ技術的なサポートをすることを任されました。
私がアサインされたのは、私自身ひとつの技術だけではなく、もう少し俯瞰した視点から製品を見てみたいと感じはじめていたことも背景としてありました。「今後、ノートPCは、技術的にこういう風になっていかなければならない。だから製品はこうしましょう」。そういう観点から企画にアドバイスをしてほしいと、アサイン時には言われていました。
わずか9ヶ月の担当でしたが、この時期はお客様の声を聞く場に幾度となく参加することもでき、エンジニアとしてはとても得難い経験ができたと感じています。それまでは、「お客様は、きっとこう使うだろう」と想像しながら技術と向き合っていたのですが、実際にお使いいただいているお客様の声を聞くことができたことは、大きな刺激、財産となりました。
ものづくりを俯瞰して見ることができる立場での仕事で、エンジニアとして、また社会人としても大きく視野が拡がったと感じていましたが、一方でエンジニアとしての「力不足」も感じ始めていました。製品開発の現場に戻るという選択は、私の希望でした。ちょうどその頃、ワークステーションが新しくなるという時期でした。私の思いを汲み取ってくれていた部長から「やってみるか?」と言われた時は、「ぜひ、やらせてください!」と即答しました。現在私は、ワークステーション製品のマザーボート設計リーダーを担当しています。「こうしたい」という本人の思いがあればサポートしてくれる環境があること。これはレノボの社風だと思います。もちろんそのためには、本人が強い気持ちを持って言い続けなければいけませんが。

[画像]製作風景

現在のミッション

ワークステーション製品のマザーボード設計を、私を含めた5名で担当しています。ひとつの基板を設計するためには、毎回100ページ近くの回路図を5名で割り振り、それぞれに担当を決めて読み込んでいきます。以前担当していたグラフィックスの知識・経験は活きてくるものの、マザーボードだけに、ひとつの技術だけではなく、常に全体像を見ていく必要があります。
設計するうえでは、部品の大きさや高さといった物理的な制約をどうクリアにするのか。また部品同士での干渉問題。さらには、無線を使う時だけに問題が起きる例、高温になった時に起きる例など、考え得る様々な想定を頭に入れたうえで設計していく必要があります。特に最近のものは、信号が高速化し、かつ電圧も下がってきているだけに、今まで問題が起きなかったところでトラブルが出ることもあります。従来は、ある部品同士の距離を5ミリ開ければよかったのが、現在では10ミリにしないといけないなど、今まで培ってきた知見が必ずしも活きないことも多々あります。だからこそ、日々の勉強の重要性を痛感しています。

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私たちが設計したものを、関係会社の試作工場に作成を依頼するのですが、他社とのコミュニケーションという点も、エンジニアには重要なスキルとなります。頼んだはずの要件が満たされていないなど、トラブルにつながることの多くは、最初の依頼方法に問題があったり、また依頼後の確認が不十分であったりなど、コミュニケーションに問題がある場合が多いものです。決して簡単なことではありませんが、エンジニアとして成長していくうえでは、重要なスキルとなります。

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心掛けていること

意識していることは、試作段階で問題がないかどうか、しっかりと確かめるということ。マザーボードの試作が出来上がると、様々な角度から検証をしていくのですが、ここでのチェックを怠ると、量産後のトラブルにつながるおそれが生じるからです。ある時、先輩からこう言われました。「量産後の1ヶ月は、試作期間の1日で決まる」と。これはまさに試作段階での検証の重要性を言い表しています。もし、量産後にマザーボードで何らかのトラブルが派生したとすれば、その問題の修復にも時間がかかりますし、生産も一時的に止めなければなりません。出荷できないとなれば、売上にも影響が出ます。だからこそ、試作段階での検証作業をおろそかにしないということが大切になるわけです。
また、その前段階ですが、設計時にも量産を見据えて考えることが重要になります。試作と違い、量産時はどうしても微妙にズレが生じます。そのバラツキも考慮に入れたうえで設計を考えていかないと、量産後に不具合が出てしまいます。量産を意識した無理のない設計をしていくことの難しさは日々感じています。

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仕事の手応え

マザーボード設計では、様々なバグが生じるものですが、その原因を見つけて、デバッグできた時は、エンジニアとして純粋に手応えを感じますね。
また、様々な国の人たちと協働して仕事を進めることにも手応えを感じることは多いものです。私は、企画や購買は米国、ODMは台湾と、国をまたいで日々の仕事を進めています。特に台湾の人とは、毎日のように電話やメールなどでコミュニケーションを図っています。
仕事では、英語によるコミュニケーションになります。私の場合、学生時代に参加したあるイベントを通じて国際交流の一端を学ぶことができたことが、他国の人とのコミュニケーションを図るうえで大きな糧となっています。しかし、英語のスキルについては、ほとんどが入社後の仕事の場面で育んでいったものと感じています。例えば、米国との電話会議の場合、議事録のなかのある担当を自分が任された場合、そのパートは、全てを自分が仕切っていかなければなりません。相手が何を言っているのか、よくわからない時もあります。そんな時、参加している先輩の顔を見ると「わからないなら、自分で聞け」と書いてある(笑)。意を決して「もう一度、言ってください」と自分で言わなければならないわけです。正直なところ、最初は大変でしたけど、こればかりは自分で乗り越えなければならないことです。ここで人の手を借りることをしていると、それ以上の成長はないからです。でも苦労を伴って習得するものだからこそ、他国の人と協働し、それが一定の成果をあげたときに、素直に喜ぶことができるのかもしれません。

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これからの夢・目標・Vision

しばらくは、マザーボードの設計を追求したいと思っています。そのうえで、いずれは、システム全体の設計に関わりたいですね。レノボでは、多くのエンジニアがそれぞれの分野でのエキスパートを目指しています。私も技術面ではしっかりと学んでいきたいと考えていますが、ひとつの技術だけではなく、マーケティングの視点も意識しながら技術全体を俯瞰するエンジニアも、これからますます重要性が高まると感じています。もちろんまだまだ先のことではありますが、そんなエンジニアにも憧れを感じています。
またNECPCとグループになって感じたことは、NECPCは技術に関する知見がしっかりと文書化されているということ。レノボは「あの人に聞け」という感じで(笑)、NECPCと比べると属人的な要素が多々あります。どちらが良い悪いではなく、ベテランのノウハウを組織として正しく文章化していくことは、これからのレノボにも必要でしょう。NECPCのやり方を参考にしながら、レノボでも実践していけたらと感じています。

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自己研鑽

いろいろな国の人と仕事をするだけに、相手の国の文化や風習を理解することはきわめて大切なことだと感じています。その一方で、自国のことも正しく理解することが必要です。その意味では、読書は見聞を拡げてくれますね。なかなか時間は取れませんが、仕事の合間を見て、なるべく多くの本に目を通したいと思っています。
私たちは他国の人と、仕事を離れて食事を共にする機会もあるのですが「技術だけの人」になってしまうと、食事の際、何も話すことがなくなってしまうわけです(笑)。そんな時、例えば日本では葬儀の時、こんなことをしますという話題で話をすると、興味を持って聞いてくれたり、また、そちらの国ではどういうやり方で行いますか? など、話が拡がっていきます。仕事の場面では、政治や宗教の話は基本的には御法度ですが、理解していないと、失礼な対応につながってしまうこともあります。特に宗教は、相手国の習慣と結びついていることも多く、知れば知るほど参考になりますね。

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また、異文化コミュニケーションという点では、相手国のカレンダーも意識するようにしています。例えば、台湾や中国では、日本で言う旧正月を祝うわけですが、日本にいると旧正月はあまり馴染みのないものですが、台湾や中国の人にとっては、きわめて大きなイベントです。旧正月を理解しておくことで、その直前には重たい仕事はお願いしないなど、配慮することもできます。実際、私たちでも、12月28日くらいになると、仕事に力が入りにくくなりますからね(笑)。

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