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LAVIE Pro Mobileは、過去NECPCから世界最軽量を銘打ってリリースされたLAVIE Zeroシリーズの後継機種。
本機種の開発時のコンセプトとして掲げられたのは、それまでの軽量の追求ではなく、プロが使用する状況を考慮したデザインとモビリティ(パフォーマンス、バッテリーの長寿命・軽量)の両立でした。
さらに、本機種にはNECPCで初採用となるUSB Power Deliveryが搭載されています。これまでの開発コンセプトを一新し、さらに新たな機能の追加という大きな挑戦に挑んだ、LAVIE Pro Mobileプロジェクトチーム。
その中でも大きな役割を果たしたエンジニアK.Tに当時の様子を伺いました。

デザインに合わせた最適な構造を模索せよ

本プロジェクトはデザイン面のブラッシュアップの優先度が最上位となっており、プロジェクト開始の段階で、企画部署とデザイナーによるデザインとモックアップが出来上がっていた状況でした。そのモックアップは確かに洗練されたデザインであったものの、熱冷却ファンの排気口はユーザーから見えないよう装置背面に配置され、装置底面のくさび形デザインを実現するためIOポートは左右均等に配置されるなど、開発者から見れば先行機種とはかなり構造が違う、制限の多いもので、スマートな形状・デザインを維持するためには、大掛かりな変更が必要であると判断できました。
この制限の中で仕様通りの機能を実装していくためには、従来までのマザーボード設計を大きく変更し、新たに設計し直す必要があります。ただし、それによって製品重量が増えてしまうとLAVIE Zeroシリーズから受け継がれてきた、“軽量”という特徴が損なわれてしまいます。
そこではじめに取り掛かったのは、マザーボード上の配置の最適化。ファンやIOボード、内部コネクタなどの配置を何種類ものパターンを検討しましたが、ファンを中央に持ってくるとマザーボート上に不要なスペースが生まれ、その結果、前機種と比べて基板サイズは大きく、重量は重くなってしまいます。そこで考えたのが、基板の厚みを薄くし軽量化すること。サプライヤーと検討を重ね基板をできる限り薄くし、さらに、薄くしたことで下がった強度に関してはファンを基板上に固定することで補強。
この施策により、大幅なマザーボードの配置換えをしつつ重量は前機種同等に抑えることに成功しました。

さらにPro Mobile では、NECPC製品では初採用となるUSB Power Delivery(以下USBPD)による充給電機能の実装も行いました。
しかしこの機能に関しては、私たちも扱うのが初めて。まずは数百ページにも及ぶUSBPDの仕様書を読み込むところからスタートしたのですが、仕様書だけではこの機能の全容がつかめません。そのため私たちはUSB関連の運営機関やUSBPD コントローラーのベンダーへ相談を持ちかけ助力を仰ぎました。さらに市場に出回っているデバイスとの接続を実機で検証するという地道ながら実践的な方法で知識と技術を積み重ねていきました。また、この機能実装にあたっては、ハードウェアだけでなくソフトウエアとの連携も必須であり、私たちエレキエンジニアだけでなく、社内の電源設計エンジニア、ソフトウェアエンジニアが一丸となって仕様の決定を行いました。

課題を乗り越えデザイン&モビリティの融合を果たす

新機能の調査や仕様決定は順調でしたが、開発・実装に関してはいくつもの問題が発生。その中のひとつはパソコンに特定のUSBPD対応アダプタを接続した際に、全く違う仕様のものと誤認識してしまう問題がありました。原因調査のためパソコンとアダプタ間の通信をアナライザで確認したところ、アダプタは正しい情報を送信していましたが、パソコンがその情報を誤認識していることが判明しました。この調査をもとに、プログラムの見直しを行ったところ、根本原因のプログラムのミスが発見され、この修正を行うことで無事問題を解決することができました。

このような大幅な設計の変更、そして初めての技術導入とそこから発生した問題の解決と、数々の課題を乗り越えリリースしたPro Mobile。市場からはデザインや音質、バッテリーの改善などで高い評価を獲得しました。この成功を導いたのは、やはりプロジェクトに関わった各チーム、各エンジニアの強い連携にあると考えています。私は主として、USBPDやバッテリーライフなどを担当していましたが、新しい導入技術の知識習得に追われ、バッテリーライフの作業に着手できない時期がありました。これを見たチームメンバーがサポートに入ってくれたことで、新技術の導入とバッテリーライフの向上を十分なレベルで両立させ、かつ納期までに作業を完了することができたのです。
こうした私たちの努力によって生まれたPro Mobileは、デザインとモビリティを両立させた製品の第一号となりました。このモビリィティの実現によって、様々なユーザーの作業効率を向上させることができます。今後は、このモビリティを維持しつつ、さらなるデザイン性の向上、最新技術への対応、Prosumer向けのセキュリティ強化を目指し、新たなプロジェクトに挑戦したいと考えています。

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